【薬剤師のお仕事日記】不眠症はいくつになっても辛い
今回は、薬剤師として働いて感じたことを記事にしています(^^)/
テーマは「高齢者の不眠症」です。
周りの方で不眠にお困りの方がいれば、こちらの記事を読むだけでも理解しやすくなるかもしれません。
ぜひチェックしてみてください(´▽`)
高齢者の不眠の悩みは根深い
先日薬局に高齢の方が来局されました。
「眠剤を既に2種類飲んでいるけど、1時間も眠れない。
そのまま朝を迎えてしまって辛い。
よく眠れるよと言われて、知人からもらった眠剤を半分にして飲んだら眠れた。
これも飲んでいいかと聞きたくて。」
というご相談でした。
高齢者の3人に1人が不眠
現在、高齢者の3人に1人が不眠の悩みを抱えていると言われています。
患者さんの中でも睡眠薬は『眠剤(みんざい)』と呼んでおり、それだけ身近な存在なのです。
また、高齢者が不眠になる原因は多くあり、パッと思いつく限りでもこれだけあります。
- 睡眠をとるほど日中活動していない/できない
- 睡眠を促すホルモン『メラトニン』の減少
- 持病(頻尿、痛みなどによる睡眠障害)
- することがないので、とりあえず寝るが眠れない
睡眠薬を飲むリスク
「夜中に目が覚めてしまい、朝まで一睡もできなかった…。」
そんな状況が続いてしまうのは、精神的にも体力的にもとても辛いものです。
そこで医師に相談して処方してもらうのが睡眠薬ですが、高齢者の方には特に注意してもらいたいリスクがあります。
ふらついて転んでしまい、骨折するリスク
ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は催眠・鎮静作用を持ちます。
更に、筋弛緩作用もあるため、整形外科では肩こりや腰痛に使われることもあります。
しかし、この作用は高齢者の運動機能を低下させてしまうことも懸念されています。
高齢者の方では夜間にお手洗いなどで目が覚めて、もうろうとした意識の中でうっかり転んでしまうケースがよくあります。
立ち上がった時にうまく力が入らずに転んでしまうことも。
また、転んだ際に、当たり所が悪いと骨折してしまうこともあります。
若い人の骨折はすぐに治りますが、高齢者の場合だと治りが悪いため、寝たきりになってしまうこともあるのです。
このように、筋弛緩作用のあるベンゾジアゼピン系の薬は、転倒・骨折するリスクが高いと言われています。
そのため、医師は骨折リスクの低い薬剤(非ベンゾジアゼピン系)をなるべく選択するようにしているのです。
薬を飲むに当たって注意したいこと
少し話が逸れてしまいますが、今回薬局に相談しに来た方のお話を聞いて、「これは注意が必要だなぁ」と感じたことが2つありました。
人から薬をもらわない/人に薬をあげない
他の物と同様に、薬に対してもやってしまいがちですが。
他人から薬をもらわない、もしくは他人に薬をあげないようにしましょう。
(それでも、高齢者同士で余った湿布をやり取りしている、という話をよく聞いてしまいます(^^;))
医師から処方されてもらった薬は、『今の』、『あなたに』効果的な薬です。
そのため、同じような症状が出ている人に渡しても、その人に効果的だとは限らないのです。
医師の指示通り服用する
基本的に、薬は医師の指示通りに飲みましょう。
もしも他人からもらった薬を飲んで、効果が現れたならまだしも、副作用が現れてしまったらどうでしょうか…?
他に飲んでいる薬と飲み合わせが悪く、相互作用が起きてしまったら…?
医師や薬剤師が関与しないところで薬を飲むのは、とてもリスクがあるのです。
困ったことがあれば医師に必ず相談をする
的確な治療を行ってもらえるように、医師と相談を重ねましょう。
もちろん、医師にも意図があっての治療を行っているので、治療に不安があれば、それも併せて確認をとることが重要です。
治療に当たっている患者自身が納得できないと、効果も十分に発揮できないものです。
最後に
高齢者の不眠には、リスク回避のために非ベンゾジアゼピン系のマイスリーや、ベルソムラ、ロゼレムなどが中心となって処方されていますが、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬が処方されているのもよく目にします。
そこは、リスクと効果を比べて、よりよい選択がされている結果でしょう。
不眠は、高齢の方だけでなく広い世代で悩まれています。
不眠症の方が、ぐっすりと満足いく睡眠を1日も早く得られることを願って、これからも薬剤師として精進していきたいなぁと思いますm(__)m
ほよよが飲んだ抗うつ薬や睡眠薬の効果・副作用 - まろほよぶろぐ
※こちらの記事では、私が飲んだことのある睡眠薬「ベルソムラ」の感想などを書いています。